fujii7 Diary

fujii7の備忘録

General Election 2015 - 英国下院総選挙

 7日に投票された英国議会下院の総選挙(改選全650議席、過半数は326)は、キャメロン党首(首相)率いる保守党が改選前より24議席増の331議席ミリバンド党首率いる労働党が26議席減の232議席スコットランド国民党が50議席増の56議席という議会勢力となり、保守党が単独過半数を確保した。

 日本の国会(衆議院)も英国の二大政党制を指向した選挙制度なので、米国大統領選挙に並んで、日本でも注目された選挙だっただろう。


www.bbc.com

 英国の公共放送「BBC」が伝える選挙結果(議席獲得数)は、

で、獲得議席数だけ見れば、保守党が勝ち、労働党は敗北、スコットランド国民党が大躍進、保守党と連立政権を組んでいた自由民主党が大敗北ということである。キャメロン党首は新しい議会選力に基づく新政権を保守党単独で成立させる意向で、引き続き英国はキャメロン首相が舵取りを担うことになった。労働党ミリバンド投手は党首辞任を明らかにしている。

 日本メディアの解説によれば、キャメロン保守党の経済政策に「非積極的」な支持が集まったからという見方が多い。その通りだろう。

 さて、日本の衆議院の議員構成と比較してみよう。
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出典:日本の衆院衆議院、英国議会下院はBBCニュースサイト

 いかに、日本の「労働者政党」が貧弱かを如実に示すグラフではないだろうか。労働者政党として、民主党日本共産党を取り上げても、議席の2割に満たない。
 この理由の考察はいずれ別稿に譲るが、労働者団体の視野の狭さに一因があると思っている。視野の狭さとは、労働者団体が声高に叫んでいる労働環境の改善というのは大手企業の「正規雇傭者」のためであり、大半の非大手や非正規の雇傭者にはまったく響かないのである。だから、労働者政党がこれほど貧弱なのであろう。

 英国議会下院の総選挙によって、英国自身の欧州連合(EU)からの離脱問題――これは2017年までに国民投票を実施する方針をキャメロン首相が言明している――、それに英国国内のスコットランド独立問題の再燃という、「地域主権」とはまた異なった、ナショナリズム的な考えが台頭していることに注目しておかなければならないだろう。
 
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調査機関の信頼性は

 もうひとつおもしろいのが、事前の世論調査と選挙結果の乖離である。「乖離」というより、事前調査の“大外れ”が適切かもしれないが。www.jiji.com

 いわゆる「ネット時代」になって、こういった世論調査をはじめとする「社会調査」の手法は、その時代に合わせて変化させていく必要もある。たとえば、固定電話へ電話をかける世論調査なんて、在宅率の高い高齢者が母集団となりやすく、必ずしも本来求めたい母集団とは異なる。ではネットが万能かといえば、そうでもない。

 少なくとも、より「社会」を歪みなく反映し、より効率的に「社会」の今をあぶり出すには、どのような調査手法が望ましく、より適切なのか。

 こういった調査を基にした研究がベースであるわたしのような人間には、英国議会下院の新しい勢力や日本衆議院との比較よりも、世論調査と選挙結果が乖離した要因はどこにあるのかに、興味、関心が尽きないのである。