fujii7 Diary

fujii7の備忘録

『日曜朝』に堤防が決壊するとは限らない―三条市水害対応総合防災訓練

 6月の第3あるいは第4の日曜日に、新潟県三条市では「水害対応総合防災訓練」が実施される。今年も6月28日に実施された。
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平成27年6月8日(月)市長記者会見 - 三条市


 三条市の「水害対応総合防災訓練」は、今から11年前の2004年7月13日に起きた「平成16年7月新潟・福島豪雨災害」の教訓に基づいている。

 活動が活発となった梅雨前線により、2004年7月13日早朝から三条市を東西に流れる信濃川水系五十嵐川の水かさが急激に増し、上流部の2つのダムでも貯水量が限界に達し、13時15分に五十嵐川の左岸が決壊、濁流が三条市街地南部、「嵐南エリア」に入り込み、最も深いところで2mを超すほど浸水した。

 避難情報が伝わなかったこともあり、犠牲となった方9人を出す、三条市史上最悪規模の自然災害となった。www.city.sanjo.niigata.jp
ドキュメント「三条市7・13水害」

 ふだん通り登校した小中学生は、周囲が水没した学校に取り残され1泊、会社に1泊、家族はバラバラを余儀なくされ、避難先すら水没して食糧に乏しい夜を過ごした。水が引けば、想像を絶する腐敗臭と浄水場機能低下による水量の低下が待っていた。

 これを教訓に出水期に市が実施しているのが「水害対応総合防災訓練」である。いかに、避難準備情報や避難勧告を迅速に住民に伝えるか。この訓練の主眼は情報伝達にある。それに加え、どう避難したらいいのか、自助・共助・公助の役割を確かめる訓練でもある。

 このような訓練があったから、全国で初めて「避難準備情報」を発表したり、2011年7月の「平成23年7月新潟・福島豪雨災害」では、五十嵐川右岸が決壊したものの、1人が亡くなってしまったが、2004年の水害より少ない損失に抑えることができた。

 ただ、この訓練は第1回から日曜朝に実施されている。消防団や住民を動員する訓練であり、市民生活や企業活動への影響を考えれば、日曜朝に実施するのが順当である。行政側の負担も少ない。

 しかし、豪雨だけでなく、地震や台風、東京電力柏崎刈羽原子力発電所事故は、月日、時間を選ばない。つまり、日曜朝に都合よく発災するとは限らないのはいうまでもない。

 気象予報に反して、金曜夕方から激しい雨が降って、金曜日の夜に避難勧告を発令する事態となったら。どうするのか。金曜の夜、本寺小路が賑わっている中、堤防が決壊したらどうするのか。

 災害は日曜朝に来るとは限らない。いつ発災し、どこで避難しなければならない事態になっても、無事に避難できる心構えと、あらかじめの用意、自助・共助・公助はどうあるのかを、考えておきたい。