fujii7 Diary

fujii7の備忘録

大阪都構想

(異論、反論、大いにありましょう)

 いわゆる「大阪都構想」、東京都と23特別区のように、2017年4月に現在の大阪市を廃止して5つの特別区を設けることについて大阪市有権者に是非を問う住民投票が執行された。

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出典:産経ニュース

 学者・研究者でも、これほど賛否が割れた政策は珍しい。どちらの考えにも納得できた。
 大阪を舞台とした地方自治のあり方を問うという問題に、さまざまな視点からのアプローチがあり、分析の仕方があり、よりよい政策の提示にいろいろあるのは大変学ぶものがあった。もちろん、それだけではないが、ここでは言及しない。

 いずれにせよ、私が注目したいのは「大阪が強くなれるか、どうか」のただ一点。そのための地方自治のあり方を問うという視点で、大阪都構想に注目している。
 国内工業の海外転出は今に始まったことではないが、とくに大阪の地場産業の勢いが落ちていると巷間言われている。統計で確かめていないので(この時点で研究者落第だが)はっきりと言えないが、大阪を拠点とした電器産業などはもはや海外製に圧倒されてしまった。これがいい悪いというレヴェルの話ではなく、現実がそうなっている。

 となれば、ますます東京一極集中の吸い込みに大阪まで飲み込まれてしまうのではないか。東京と肩を並べる存在感のある大阪が過去のものになってしまうのか。再生できるのかできないのか。これが「大阪が強くなれるか」という意味合いである。一極集中が進んだ東京で、直下型地震が襲ったら、日本は……。ご想像に容易いはずである。(経済的という単一の意味でなく)豊かな地方を引っ張っていくのは、大阪がその最右翼であろう。

 わたしは、これまで問題だと指摘されてきた大阪府政と大阪市政のいわゆる二重行政の弊害が「大阪を強くできない」要因で、それを根本的に解消させる手立ては、「大阪都構想」のような大きな手立てを施さない限り、「大阪が強くなる」のは厳しいのではないかと考えている。「大阪都構想」が全ての問題を解決する最善の策とはいいがたいが、他の手立てがあるのか。そう考えると、「大阪が強くなれる」ための地方自治という視点で、この大阪都構想をずっと考えている。

 最後にこれだけは強い気持ちで書いておきたい。「20時=投票〆切」を過ぎ、結果が出たら、賛否どちらも、結果を尊重し、より強い大阪のために、よりよい施策を求めていく、議論を重ねていくことが最も重要なことである。

 政治は、政敵があってこそかもしれないし、人間関係がそんなに潤滑よくいくとは限らないのは重々承知している。わたしだって全てが潤滑な人間関係を築いているとはいえないから。
 ただ、政敵がらみの「政争」で最も悲しむのは住民であり、大阪の弱体化であり、それはいずれ日本の弱体化につながっていくだろうからこそ、「政争」を超えていく姿が必要である。これは「きれいごと」かもしれない。けれど、その姿勢を大阪が率先して示してほしいとお願いする。