fujii7 Diary

fujii7の備忘録

クリティカルイレブンミニッツ(critical eleven minutes)

14日夜、広島空港で着陸に失敗し27人が負傷したエアバスA320-200「アシアナ航空(OZ)162便事故」。

事故原因は着陸直前に空港周辺での天候激変による視程低下に絞られているようです。しかし、機長・副操縦士の「操縦ミス」「判断ミス」も原因として排除できないことも忘れてはならないでしょう。


「乗りものニュース」では、航空ジャーナリストの坪田敦史氏が「最新方式だったアシアナ機着陸、なぜ事故に パイロット気象変化に対応できず?」という寄稿記事を掲載している。trafficnews.jp

それによれば、広島空港への着陸(進入)方法には、

  1. アールナブ・アプローチ(飛行管理システムでの東側からの着陸)
  2. ILSアプローチ(計器着陸装置を使って西側からの着陸)
  3. VORアプローチ(電波標識を使って東西両方向からの着陸)
  4. ビジュアル・アプローチ(有視界着陸)

当該事故機がどのような着陸方法を採ったのかは、まだ明らかにされていないが、坪田氏は、OZ162便の着陸時は夜間で見通しが悪く、空港周辺の気象状況もあまりよくなかったものの、着陸直前、20時の時点で滑走路を見渡せる距離(視距離)は1,800mを維持しており、「アールナブ・アプローチ」での着陸に問題ない条件だという。

ただ、他のメディアの報道などでは、天候が急変したことで急に滑走路が見えなくなったことも報じられています。

坪田氏は、「アールナブ」は信頼性の高いシステムなので、空港からの距離があれば、その状態でも計器によって進入を続けられるが、安全のため、地上から約450mの高度まで降下した時点で窓から滑走路が見えなければ、「着陸やり直し(ゴーアラウンド)」をしなければならないと指摘しています。

となれば、天候激変による視程低下が第一の原因で、その天候激変を判断できずゴーアラウンドしなかった機長・副操縦士の「操縦ミス」「判断ミス」というヒューマンエラーが第二の原因となってくるでしょう。

航空機事故には、航空機の離陸後3分と着陸前8分の、合計「11分間」が、雪や突風など天候の影響、鳥の衝突、操縦がマニュアルに切り替わることによるヒューマンエラーなど、危険な要素が増加し、事故が起こりやすくなる時間帯で、「クリティカルイレブンミニッツ(critical eleven minutes)」、日本語では「魔の11分」とも言われています。日本最大の航空機事故だった1985年の日航機墜落事故は例外的な時間帯に発生したことになります。

何度も、航空機を利用していますが、このクリティカルイレブンミニッツの時間帯だけは、乗客にもかかわらず、今も身体が硬くなっていて、緊張しているのがわかります。

それにしても、きょうになって、アシアナ航空の副社長が陳謝の会見を開いたようですが、不思議なのは機長・副操縦士、つまりコクピットにいた人間の話が全く伝わってこないことです。日本の警察当局に事情を聞かれているのか、JTSB(運輸安全委)に事情を聞かれているのか、わかりませんが、なかなか出てこないことが不思議でなりません。事故の当事者であるアシアナ航空から発表できない、コクピットの人間から事情を聞けないということもあるのだと思いますが。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150416/k10010050241000.htmlwww3.nhk.or.jp