fujii7 Diary

fujii7の備忘録

山手線架線柱倒壊の重大インシデント

「平日でなくて、よかった」「接触・脱線・転覆事故でなくて、よかった」
ただし「情報の混乱だけは、いただけませんでした」


朝6時10分ころに東京の神田⇌秋葉原の山手線線路で、機能停止していた架線*1の鉄柱が傾き、電線でつながった別の鉄柱が土台から折れるように倒れました。その時間帯、約10分間隔で運行されている山手線の電車に、幸いにして接触せず、山手線と、それに並行する京浜東北線の電車を停めることができました。

のちのニュース報道では、機能停止していた架線鉄柱が傾いていたことを把握していたこと、あす13日に修繕する予定だったとのことです。これと「朽ちるインフラ」を論じるようなコメント・ポストもありましたが、単純に比較するのはお門違いのような気もしています。私の中での「朽ちるインフラ」は老朽している状態すら把握できていないインフラを指すことだと思っています。

最寄りの南浦和駅京浜東北線武蔵野線の私は、ほとんど京浜東北線を使っています。この最寄り駅は武蔵野線もあるので、京浜東北線が停まってしまっても、武蔵野線で動くこともできるので、陸の孤島と化すようなことありません。

4月から職場が変わり、土曜日が校務日となっているので、日曜日は有効に予定立てて過ごさないと、まともな休日になりません。

ですから、休日を有意義に過ごせるように、きょうも少し幅を持たせながらも、予定を立てていました。

朝の「山手線・京浜東北線全線ストップ」のニュースで、予定の変更も考えましたが、「早い時間帯に、大宮から東十条までの間は運行が再開されるはずだ」と考えました。案の定、9時頃までには大宮⇌東十条は運行を再開したことをニュースかなにかで知りました。ならば、大幅に予定を変えなくてもいい。そう思って、自宅を出ました。

南浦和駅に着くと、「神田・秋葉原間で、線路に柱が倒れたため、京浜東北線は全線で運転を見合わせております」という構内放送が流れます。
f:id:fujii7:20150412225410j:plain
「あれれ???」。。。動いていないのか? ダイヤが乱れていても、運行間隔が開いていても動いているんだろうな、そう考えていました。

都内に出るならば、武蔵浦和駅乗換えの武蔵野線埼京線を使えばいいのですが、きょうの予定は、最初に川口駅に向かわなければならないので、そのルートは使えません。南浦和と川口との所要時間は約【10分】。

とりあえず、1番線・2番線のホームに降りてみると、ドアを開けて停まったままの電車(815C)がいます。ホーム側は「大船」行となっていますが、車体側は「東十条」行になっています。

車輛に乗ってみても動くというアナウンスもありません。ホームのスピーカーから「京浜東北線は全線で運転を見合わせております」という旨の放送が繰り返し流れるばかり。
f:id:fujii7:20150412225404j:plain
いちど乗車を諦め、埼京線の戸田方面から振替乗車の路線バスに乗るルートや東川口からの埼玉高速鉄道線川口元郷駅に行くルートを考えていると、「1番線に停まっている電車、まもなく発車します」と急に新内容のアナウンスが流れ、急いで上ってきた階段を再び降りて、電車に乗り込みました。

10時04分、南浦和駅を私が乗った815Cという電車が発車。

車内の案内は「東十条で折り返し、折り返し作業で前に電車が各駅に停まっているので、前の電車が出たら出発する」旨を説明していました。
人身障害事故が起きたときによくあるパターンです。

それで、次の蕨駅で3分ほど停まりながらも、蕨の次、西川口駅に向かいました。

10時14分、西川口駅に815C電車が到着。ドアが開いて、3分経っても発車する気配はありません。この駅では「赤羽、東京方面に向かう方は、大宮行の電車で浦和駅に向かい、浦和駅から上野東京ラインに乗ってください」という内容のアナウンスをしていました。帝国ならば6時37分着発の大宮行の電車が10時17分に出て行きました。220分(3時間40分)遅れです。絶対に持ち場を離れられない運転士さん・車掌さんの生理現象の心配をする余裕が、まだありました。

しかし、10分経っても、15分経っても動く気配はありません。それでも、大宮行の電車がもう1本行きましたが、「あと1駅だし、1駅動いてくれればいいんだから」、「赤羽から折り返す方がもっと時間がかかるだろう」と思っていました。東十条行だった電車は、いつの間にか「上野」行に変わっていて、大船側からは上野行が終電に1本あるものの、大宮側からは上野行という電車は通常ではあり得ず、なかなかレアだな、、、なんて、ちょっと鉄ヲタな頭でいたわけです。
f:id:fujii7:20150412225415j:plain
f:id:fujii7:20150412225419j:plain

事態が急変したのは、とある放送が流れてからでした。「架線柱を撤去するのに電気を停めるため、大宮から品川の間で電車の運行を見合わせます。1番線に停まっている電車の運転再開の見込みはたっていません」。

は?Σ ゚ロ゚≡(   ノ)
なに?(゚〇゚;)
今なんて言った?(ノ゚⊿゚)ノ
お、お、み、や、か、ら? 電気を止める?
ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε= ヒイィィィ!!!!( ̄⊥ ̄ノ)ノ

もう、大宮方面に戻る電車は止まっていましたし、放送でも、大宮方面に向かう電車はしばらくないことを告知していました。

西川口から川口まで電車でわずか3分ほどなのに、電車では行けないことがわかりました。
ここで、電車を諦める決断をして、西川口駅の改札口に向かいましたが、振替乗車票をもらう列に並び、川口駅に向かうバス乗り場に向かったのは、もう11時10分頃でした。既に、南浦和駅を出て1時間余。

戸田方面に向かうバス、川口駅に向かうバスの乗り場となっている西川口駅西口のロータリーには、タクシー待ちの列を含めて、3つの長蛇の列ができていました。まるで、3.11、東日本大震災発生時に首都圏各駅で見られたバス待ちの列です。私の前には目算80人くらい並んでいました。「これほどの列だと、1台のバスには乗れない、次のバスだろうな……」と思っていました。

11時22分発予定の川口駅西口行のバスが来て、ドアが開くと列が動き始め、なんとかギリギリバスに乗ることができました。でも、これまでに経験したことがないほどの混雑率のバス。途中のバス停でも乗ってくる人、乗るのを諦める人がいます。

11時40分頃、川口駅西口にバスが到着。振替乗車票をバス運転手さんの隣にある運賃投入口に入れようとしたら、運転手さんは見せるだけで降りていいという。もらっても仕方ないけど、振替乗車票を手にしたままバスを降りました。
f:id:fujii7:20150412225421j:plain
結局、南浦和駅から川口駅まで約【1時間40分】。ふだんの10倍も時間がかかりました。

せっかくの休日の予定は、大きく狂い、やりたいこと、やるべきことが全てできないまま休日が終わってしまいました。

今回の山手線・京浜東北線での重大インシデントで感じたことをまとめておきたいと思います。

  • 平日でなくて、よかった⇒平日朝にインシデントが起きていたら、とんでもない混乱になっていたはず
  • 接触・脱線・転覆事故でなくて、よかった⇒これは本当に不幸中の幸い
  • 輸送指令の混乱が現場の運行・案内の混乱に⇒電気を止めるならば、どれほどの時分停めるのか、情報を繰り返すのではなく、最新の情報を逐一知らせてくれれば、こちらだって動きがとれる。日曜日だからといって、乗客全てが行楽・ショッピング客ではない。仕事に向かう人だって日曜日もいるんだから、もっと駅などでの対応人数和布やしてほしかった。
  • 現場の運転士さん・車掌さん・駅員さんは大変

鉄道に限らず、交通事業は「安全」が第一。その前提に、次が「快適」「定時正確性」でしょうか。バスだと定時正確性は難しいでしょうか。今の日本では、安全であることは極めて当たり前になっています。「安全でない」状態は考えられません。ですから、安全を前提として、快適、定時正確性が求められるわけです。そのためには、必要な情報をどう提供していくか、ということも今回の事象であらためて対策をしていくことが必要なのではないかと思うわけです。

*1:河川と間違えないよう、がせんとわざと濁るように発音するのがその業界用語のようです